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株式投資では長期投資をするとリスクは低減する?【全然しません】

投稿日:2020年5月16日 更新日:

長期投資,リスク,低減

こんにちは。FP技能士のTaku3です。

「長期投資はリスクを低減させる」

そう聞いたことがある方も多いかと思います。

こんな人に読んでもらいたい
  • 「長期投資をするとリスクが低減すると思っている」
  • 「そもそもリスクの意味がよく分からない」

この記事では、長期投資でもリスクは低減しないことをグラフで分かりやすく説明します。

この記事の内容
  • 投資におけるリスクの意味
  • 長期投資ではリスクは低減するか?

この記事を読むことによって、長期投資をしてもリスクは低減しないことが視覚的にイメージできます。

この記事を読んで得られること
  • 長期投資をしてもリスクは低減しないが、元本割れの可能性はリターンに押し上げられて低減する。

ぜひ参考にして下さい。

投資におけるリスクの意味

海賊, どくろ, 頭蓋骨, フラグ, 骨, 危険, シンボル, 致命的です

まずは用語のおさらいです。

リスクは、資産運用(投資)においては、将来のリターンの不確実性(変動性)のことをいいます。これは、結果が不確実であることを意味し、”損失”と”利益”の両方の可能性を含みます。また、その結果(損益)の変動幅が小さければ「リスクが低い」、一方で変動幅が大きければ「リスクが高い」と言います。

引用元:iFinance

リスクと聞くと元本割れの可能性を想像される方も多いと思いますが、投資におけるリスクとは期待してるリターンから上下にふれる幅のことを指します。

投資用語のリスクの意味、分かりにくいですよね。

期待リターンが5%だと、預貯金の金利が5%なのと同じように毎年5%のリターンが得られると思いがちですが、投資におけるリターンは毎年同じにはなりません。

日本株の値動きのイメージ
引用元:GPIF

期待リターンを5.3%、リスクを25%とした場合を上の図で確認しましょう。

リターンが5.3%±25%になる可能性が68%あり、これを1標準偏差と呼びます。

一般的にリスクと呼ばれているのは、この1標準偏差のことです。

2標準偏差は1標準偏差の2倍まで、このケースだと±50%までリターンが振れる確率のことを呼び、その確率は95%。

大恐慌やリーマンショックなど、大暴落と呼ばれる相場では1標準偏差を大きく超え、時には2標準偏差以上に下落します。

長期投資ではリスクは低減するか?

株式投資の未来,保有期間とリスクの関係
引用元:株式投資の未来

そもそも長期投資でリスクが低減するってのは上の図を間違って理解していることが元凶なんだと思います。

たしかに保有期間が長くなればなるほど、リスクは低減してるように見えますね。

結論から言うと、長期投資でもリスクは低減しません。リスクは変わりません。

シミュレーションで確認してみます。

シミュレーション条件
  • 元本100万円を追加投資なしで20年間運用
  • 期待リターンは5%、リスクは20%
  • リスクは1標準偏差のみで考え、1年目はプラス側最大値→2年目はマイナス側最大値→3年目はプラス側最大値・・・といった形で毎年プラスとマイナスを交互に変動する
  • インフレなどその他の変動要因は考慮しない

まずは評価額のイメージ↓

リスクとリターンの関係

リスク20%の線を見ると、グラフの右にいけばいくほど、なんとなく上下の振れ幅が大きくなっているように見えませんか?

はい、分かりにくいですね。

上の図では分かりにくいので、上下のふれ幅だけをグラフで確認してみましょう↓

リスクと投資期間の関係

うん、やっぱり年数が経てば経つほど、前年比のプラスマイナスのぶれ幅が大きくなってます。

数字で確認するとこんな感じ↓

リスクと投資期間の関係

何度みても前年比の損益のぶれ幅はだんだん大きくなってます。

これはリスクが大きくなっている訳ではなく、複利の効果でどんどん運用額が大きくなっているために上下にぶれる金額が大きくなっているということ。

リスクは長期であれ短期であれ変わらないんです。

ちなみに元本割れの可能性はリターンに押し上げられる形で低減します(青線が右肩上がりになってる)↓

リスクと投資期間とリターンの関係

投資になじみのない人にとっては、「リスク=元本割れの可能性」ってイメージかと。

そういう意味で言うと、長期投資ではリスク(元本割れの可能性)はリターンに押し上げられる形で低減します。

投資用語のリスクって分かりづらい。笑

【まとめ】長期投資で低減するのはリスクではなく元本割れの可能性

リスクと投資期間とリターンの関係

今回は長期投資ではリスクが低減する?って内容の記事でした。

結論

長期投資でもリスクは低減しない。ただし、リターンに押し上げられる形で元本割れの可能性は低減する。

簡易的なシミュレーションでしたが、イメージはつかんで頂けたかと思います。

投資用語のリスクという意味では、長期で投資をしても低減しないんです。

ただ、長期投資をしてるとリスクが1標準偏差内におさまる回数が多くなるため、結果的に期待リターンに収束する傾向はあります。
いわゆる平均回帰性ってやつです。

例えばサイコロを振ってたまたま1が連続で出ることもありますが、ず~~~っと振り続けると1の出る確率はだんだん6分の1の確率に近づいていく。

長期投資でリスクが低減されるという本当の意味はコッチ。

こちらもお忘れなく。

いや~それにしても投資用語のリスクって意味が分かりにくい!

私も投資を勉強する前は「リスク=元本割れの可能性」だと思ってました。

そういった方にとってこの記事が少しでもお役に立てたら幸いです。

今回は以上です。

以下関連情報です。参考になれば幸いです。

関連情報

リスクはリターンを蝕む原因になります。
以下の記事で分かりやすく解説しています。

私はインデックス投資が普通の人にとっての最適な投資法だと考えています。

投資をするならつみたてNISAなどの税制優遇を活用しない手はありません。

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